私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ミニ薔薇とともに 2010年を経て行く

母娘のいつもの話題は天然 ミニ薔薇の巻 「旅路」 黄葉せる枝に小鳥の一羽来て淋しくしんと見渡す正午剥落の途を我よりも若き夫行かずばならず黄にぞ萌えかし 抱き合いひしと口つけ合ふてなほ飽かずもだゆる心なりけり平壌は夾竹桃とカンナなりき夏の命の引…

えびねとともに  2010年を体験する

母を慰めし天然 えびねの巻 「夏の華」詩心も枯るる時節や汗ふきて盆に夢見る天のカナカナ花弁のふるる波打つ百日紅(さるすべり) 見惚れし頃のセピア色の子吹田市のさるすべり路 ふるふると小さき紅(べに)たち笑ふがに散るこのまろき生物園の百日紅 ぐい…

つくしまつもととともに 2010年の夏盛り

老い母の小さな頭 つくしまつもとの巻 「恋は闇」我が姫は月の都に住みますと悲しき杯を陶然と空く陶然と月の都の有様を酔ひて思ひて竹の大臣は汝は誰れそさみどりの風蒼々と青海波舞ふ源氏の君か愛しさはいづこより来る溢れきてひとを幼き弱きものとすある…

だいこん草とともに 2010年まずは春

溶解する母の脳に だいこん草の巻 「弱虫」結局は憑かれ浮かれて子が生れて誰の命(めい)なるこの大騒動殺さずに生きられはせずこの命あたら連鎖すほらまた消えた一年の別れ辛くて諦めし夢が二人を別れさせたりわが弱さ突貫出来ぬ弱虫のぐずりてばかり夢追…

庭梅とともに  2010年の時間

2010年 母の記憶に天然はまだある? 庭梅の巻 「水玉」秋澄むやだれかが弦を爪弾きて雨の翌日咲くたますだれ夜の雨の名残の雫煌めきて不思議のもみぢ佳き朝きたるけふ何を感じたりしか春を呼ぶ雨の粒受け夜ごみを捨つ雨乞ひの効きて紫陽花今まさにひとき…

美男葛とともに 2009年終りとなりぬ

永遠へ向かいつつある母遺す 美男葛の巻 「惚けたる日々」自然の美を詠みて救はれその中の一個なる身の五感愉しむ 二つ目の矢車草のちりちりの花色淡し露草よりも ベランダの蜘蛛とかづらとアスパラガスの防虫網戸壮大なるよ 夏休み持つ幸運をザウルスの電光…

名も知らぬ実とともに 2009年とにもかくにも

母の見たる天然の美 無名の赤い実の巻 「夢に逢ひたし」無為なりし文月大事な向日葵を避けて矛盾の仏桑花咲く憶良詠む旅に死に往く子の心「遺せし親はいかにか泣く」と心打つ露草の色けふのため花色八つ呼ばふそこここ論文の参照さるるを図書館に今も見つく…

ダチュラとともに 2009年花にうち過ぎ

母の絵の中に永久に咲く ダチュラの巻 「数字」六十年時が造りしわが顔の空疎なることただに破廉恥六日夜ネットを切りぬ七日のみ残るひと日を如何に何処に六月の湿度柔らに充ちてゐる朝のそよ風 ドミンゴの声す人ら持つ美しき庭羨もしくて家造らまくゼロと一…

ばらとともに 2009年の日々

眠って母は何を夢見ている 薔薇の巻 「小さな感慨を」感慨のささやかにして消ぬべくを詞に拠りてわがひとつ置く餌を前に連れを呼ぶらし高鳴きて順位を待つや鵯ホバリングす野良のチビ赤き首輪をつけられて何年生きしかはねられてをり朝刊をバサリと閉ぢぬイ…

花と鳥図とともに 2009年を思えば良き頃

2009年より先頃から安らかに眠ることがほとんどの母の見たる天然 花と鳥図の巻(中国の誰かの古い絵の模写) 「光」我を見よこの光をと金星の傾ぶく頃の花びら月夜飾り置くところも無きに花束の隈なく照れるわが定年日駆け上がる駅の階段ワサワサと光り…

山法師とともに 2008年ここまで詠う

老母まだあり天然を夢む ヤマボウシの実の巻 「旅の空」物の理や海碧くして空蒼し 前線の雲上下に裂くも深きより隆起せる峰の先端を機窓に眺む 島国とふもの四国のみ雲に覆はれ山々のくぼむところにダム湖の光る半島に風車の並ぶ佐多岬 大分までは深き道なり…

オニユリとともに 2008年まだつづく

母の絵の天然 オニユリの巻 「自意識」ふと知りぬ茫漠宇宙にわが脳のひとりなること 在るかの如く筍は土を破りて柔らかに十メートルへ整ひて待つ時来れば土より尖り双葉生る同じ螺旋の緑の解析 ==DNAの螺旋は生命の同じ基本 「刈られしもの」夕まぐれすす…

白百合とともに 2008年の心

母の描いた天然 白百合の巻 「無頼の子ら」これの世の在るだに胸のふたがれて歩きつ見つつ低く嗚咽すまな裏にいがぐり頭ふたつあり一人を足してわが誉れとすわれもまた命育む者たるかわれを出でたる無頼の子らの 「末の子の許嫁」許されてあれ無為にただ平安…

メジロとともに 2008年を流れる

昔、母の描いた天然 メジロと椿の巻 「母の心」 清浄の身体は燃えき翌日に骨温かく抱かれて行くおめでとう三十六の誕生日みんな一緒に随いてゆくからマイボーイ全速力で漕ぎ出して母の心は追ひかけてゆく「マボーイ」と彼も歌ふよ今にしてプレスリーを聴くそ…

露草とともに 2007年を歩む

老母の描く天然 露草の巻 「猫のチビ」匂い濃き木犀の下生き延びし外猫チビが忙しげなり運命に選ばれざりし一人とし地を這ひてなほ為しうるを為す露草を鉢にこんもり咲かしめて冬まで愛でむこの宙(そら)の色幻の物理学者よ清明(せいめい)の氷上スピン光…

ショカッサイとともに 2007年をゆく

2007年 老母の描く天然 ショカッサイと名付けられて 「我の影」ストリートさすらふ我の影落ちてただ一尺の存在を踏むなほ残る最小限の欲と物 わが短髪のなほ知るを欲る六十路とふ恥を晒してなほ歌ふ 求めて得るは自虐か自慰か生きる意味問うまじむしろ …

アメリカンブルーとともに 2006年を憶う

老母の描いた天然の美アメリカンブルーの巻 「トトロの愛」大トトロわれ関せずのあくび呵々 いざ疾風として野を走りゆくテラに立ち息を吐きては息を吸う 滂沱と貫く存在の有無肉厚のサンセベリアの頼もしき どっしり自我に充足するか絶対に護られている生き…

踊り子草とともに。2006年を想う

2006年より 老母、92歳の描いた天然の美 踊り子草の巻 「一つの足場」吐息つこう まれに慶びあるときは未来につながれ確かな獲得 わが誇るこの男(お)の子らの力業 妬むもあらむ静かに臥せよ 青銅の菩薩 面差し安寧なる 買ひ求めしは若き弟 「原型」春…