私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

踊り子草とともに。2006年を想う

2006年より 
老母、92歳の描いた天然の美
踊り子草の巻

        

「一つの足場」

吐息つこう まれに慶びあるときは未来につながれ確かな獲得

わが誇るこの男(お)の子らの力業 妬むもあらむ静かに臥せよ

青銅の菩薩 面差し安寧なる 買ひ求めしは若き弟
   


「原型」

春の夢 木瓜(ぼけ)丸く笑む さはあれど生の原型冬木清(すが)しも

わが心たれを悲しむ みな人の無限の想ひ思はるるとき

有限なるヒトの形をとりながら抱く想ひの哀れ果て無き

汝が形失はれたる 汝が想ひありてありたる 惜しも懐かしも



「確信」

紅らみし木瓜のつぼみに怯えある 寒気団くるも耐えよしのげよ

わが内の不変の金剛すべて世はこともなしとぞ ずしり伝うる

長冬を忍びて咲きぬ桜花 風なき空に貼り付く豊穣

シジュウガラ是なり是なりと揺らす花 故無き厚情まさに我が依る

核反応の燃え尽きて死ぬ恒星にたとえむ生命エナジーとして



「母と子」

ずっしりと重いかたまり現れた泣きそうなままじっと抱える

たれ故のたが悲しみかひと日ずつ孤独に慣れむと諭し別れて

風清きさみどり頃の闇の夜をいくつ経つらむ母無き子らは


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