アメリカンブルーとともに ２００６年を憶う

老母の描いた天然の美

アメリカンブルーの巻　　

　　　　　　　　

「トトロの愛」

大トトロわれ関せずのあくび呵々　いざ疾風として野を走りゆく

テラに立ち息を吐きては息を吸う　滂沱と貫く存在の有無

肉厚のサンセベリアの頼もしき　どっしり自我に充足するか

絶対に護られている生きるとは愛の記憶に誰かの愛に

「沈思」

つくづくと考へ込みて思ひ出のひとつひとつと向き合はされて

つまづきの石混迷の渕さらさらと流されてかつ笑ひ飛ばすよ

荒野行く仔猫三匹世を眺む　ひとみ怯ゆるフォトの悲しも

よく実る風船かずら抱く種　碧き小さき葉　神の織物

「謎の思念」

矩（のり）またぐいかなる思念のあればなる　試みに生きこれにてと戻る

こころみに眼つむり座せば金剛のあけらき原則見えむとぞする

次元超え時空もわかたず脳内に信号つながる意味の輪として

あてどなきこの信号の波ヒトを律す　苦楽は相対なれ念じて律さむ

エネルギーとこれに呼応する物質とヒトの意識とその仕組みやも

「パンジー」

冬の間も顔をそろえて咲きつどうパンジー植えし　ぎゅっと土圧す

奈落より這ひ上がることあらずとも道は道にてザクザク進む

苦しみしこの三年（みとせ）より甦れ　文明のネットチャレンジ魂

天心よりなみだ真白に忌日来る　さしのものパンジー花びら凍てつ

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