私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

2015-03-17から1日間の記事一覧

ヒヨドリジョウゴとともに 2012年 歌の旅だった

母は施設でも描く、わずかの天然を ヒヨドリジョウゴの巻 「日本」白き薄き花弁に紅さす山茶花を口ずさみつつ垣根を曲がる書に倦めば夏は畳にどつたりと冬は炬燵にもぐる日本女学生弓引く日々の黒袴ぴたり畳みて寝圧しの準備ふるさとと言ふには淡き七輪の炭…

烏瓜とともに 2012年首都をい往く

改めて母がその生を愛おしんで生きたこと カラスウリの巻 「東京湾アクアライン」国道をバスは飛ぶがに白富士の右に左に遠く佇ちつつ無謀にも東京湾を跨ぐ橋 風に煽られバスの耐へゆく海をみて可愛い青い色なりと呟く己が心いぶかし南風(はえ)にあれど未だ…

金木犀とともに 2012年秋をゆく

母娘というより戦友のように 金木犀の巻 「不祥事」海底のトンネルなれば仰ぎみる ありうるなれどまさかと打ち消す沖縄に後生の花と名付けられ現世の庭に血の色の美し ==ハイビスカスの異称負の遺産そのままにして政争の泥沼どしゃ降り猫バスも来ず 知らぬ…

栗の毬とともに 2012年夏過ぎる

哀れ 母の老いたること 栗のイガの巻 「夕涼」夕まぐれ畳に伏して灯も点けぬ孤独も良きか月と虫の音涼風にブラインド揺れ白々と透ける月影 こはどこの国 どの部屋に行きても窓にこおろぎの囁く夜となる宇宙ノイズと満月を見上げその位置描きみるけふ球面に溢…

ざくろの花とともに 2012年しだいに慣れる

しだいに施設に慣れた老母 ざくろの花の巻 「ひまわり1」よき夢を 土のお布団そつと押し松葉牡丹のひげ根を寝かす卯月より卯の花咲くまで抜かず置くキラン草似のほたるなんとやら ==トキワハゼとのちにわかるかたばみと謎の藤色雑草に盾となるべしひまは…

花柘榴とともに 2012年 暑き日々なり

14年間そばに暮らし、もう4年間離れている 母の花柘榴の巻 「モンステラの意気」モンステラ出たとこ勝負の葉の形やぶれかぶれの自由の夢か文才も美貌もなくば何をして三十年をわが満たさむや我が歌はよほど地味らし共感を呼ぶさえなくて振り捨てらるると…

山ぶどうとともに 2012年喜びもあり

母の姿は末路の我なり 山葡萄の巻 「閑暇」ひとつずつ夏の花種思案中今年どうやらひまわり蒔けるクローバーのふと匂ひきて遥けくもタイムスリップ野遊びひと日山陰の汽車の旅こそ眠られぬ窓に果てなく荒波歌ふかけ声と出車(だし)の眦(まなじり)忘れ得ぬ…

庭梅の実とともに 2012年春から夏へ

少女のような老母に会いたい 庭梅の実の巻 「過敏」黒き眼に口笛軽く吹きやるに淋しきひとを犬も無視する白足袋の揃ひて待てり琴爪の幽かに立つる春の波音 ==箏曲「春の海」まだみつきしか経たぬのにはや倦みて暦破るも物憂き鼓動弥生尽 風に抗して樹も我…

山茶花姉妹とともに 2012年生き延びている

我より23年いつも年上 おしゃべり山茶花の巻 「悪妻」苦虫のやうなる夫の背を掻けばわれの手求め熊と蠢く夫とわれ占星術の獅子と獅子譲るができぬ三十年戦争真似事に手相占ふ もし夫に先立つとせば憤死なるべし二十年死を傍らに生くる夫脅し文句の「明日や…

赤いさざんかとともに 2012年となる

2012年 三月より持ち直した母なり 山茶花の巻 「あらたまの力」あらたまの空に光はみちみちて溶け入るごとく重心揺らす ==太極拳冷気すら快きまで息熱く太極拳に自他を去りゆく烏らが車道を低く飛ぶ背なの漲るパワー翼龍として落日の富士の稜線オレン…