私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

赤いさざんかとともに 2012年となる

2012年
三月より持ち直した母なり
山茶花の巻

         

「あらたまの力」

あらたまの空に光はみちみちて溶け入るごとく重心揺らす ==太極拳

冷気すら快きまで息熱く太極拳に自他を去りゆく

烏らが車道を低く飛ぶ背なの漲るパワー翼龍として

落日の富士の稜線オレンジのタワーも照らす赤き満月

跳ね返せそんな先輩無視しろと鬱の息子に言うじっと心に ==以前にある時




「いたわり」

故知らず吾(あ)より生まれしその縁し天より来しごと 早や戻りしも

唐突に幼きころの表情の明かりの如く甲斐無く浮かぶ

「あれこれの君の仕草」と詠みかけて歌とならねど消せぬ言の葉

この雲は定めか否かはらからにかかるもせめて君が手添へよ

吾(あ)をも見き 秀づるゆえの当然の優しき視線他をいたはりて




「白川の源泉」

白川の源泉といふ深き水あるとも見えぬほどに透きたる

からたちの棘と思ひて白秋を歌ひをりしに柚子の木なると

ひとときを母と過ごせる帰るさの暮るる坂道「父さん」と呼ぶ

手のかかる母となれども正月を物忘れして笑ひ合ひて過ぐ

母の手になる花瓶にはすすき穂のさやさや流るいつも窓辺に




「エネルギー」

小さくも辛夷よ拳握りしめ沈丁花には負けぬとばかり

馬の瞳に空の映りて脊な震ふ 二本脚らの心を読むらし ==題詠「馬」

跳ね回る仔やぎ仔うしの喜びの末は知らねど「遊べよ仔馬」

天馬でも天女でもよし運びてよ海の藻くずと身はなるとても

塗る程にたるみし肌の手に負へずせめて笑へと強ひるもをかし




大寒の雨」

元旦の震度4より癖となり古家を揺する風も疑ふ

地の揺れか雨の雫かみしみしと鳴るその次を畏み侍る

歯医者にて泣き叫びいる幼子よ小さき喜びあれよ明日は

つひに降る 凍月(いてつき)巡る間乾きしが大寒の土静かにも濡る

大寒をまたぎ氷雨の濡らす枝ヒヨの宿りも川面に傾ぐ

淋し気にふと空を見る清けき眸愛しくも見ゆ鄙の若人
   



「隣人の恵み」

購ひし枯れ木の如きつる薔薇に語りては剪る赤き芽の上

我が窓に赤き柄の葉のかかり来はかのゆずり葉と隣人に聞く

ヤーコンはアンデス産の不思議の実 外は里芋 梨のさくさく

抜き立てを「ほら」と賜ひし根深葱1枚剥けば香りてま白

香り立つ深葱どつと鍋にいれ卵落として一人の昼餉
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