私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

2015-03-06から1日間の記事一覧

柿もみじとともに 2011年やっと終る

白髪の母は運のよい人である 柿もみじの巻 「近き思い出」けふの幸こそ忘れまじ満月を見て交はしたる親子の眸仏桑華(ぶっそうげ)と呼ぶはなにゆへ緋の色の最後の心ふたつ開きぬ藍色の冬至前後の沈みたる空の夕星頼りの光 大洗海岸の波営々と寄するを人とも…

黄菊とともに 2011年歌と生きる

母の細胞は縮んでいく 黄菊の巻 「対話」珍しく音聞かせたる風鈴は北国生まれ冬めく風に軒端からそろそろ風鈴ドアノブに吊るせばコンとノックしてくるポーチュラカ霊気を浴びて甦る どうするつもり根は切ったのにおじさんが「気持悪いよ暑すぎて」トンカチし…

小菊とともに 2011年に別れて

この母といつ永遠に別れるか 小菊の巻 「弟逝く」夏来れば誕生日あり死ぬもあり弟死にたり今年の盆に白百合と笑顔の父と一枚の写真に浮かぶ互ひの祈り晴れし日の夕空星の光り初む群青色を好みたる人その淡きあまりに淡き花色のホテイアオイの薄紫の思ひ出は…

錨草とともに 2011年死に往く人

温かい母の体 いかりそうの巻 「飽くなし、飽きもせず」自が生の底汲み尽くす貪欲を飽くなき希求羽搏かしめよ何首まで呟き漏らす夫寝ねてかすかに埃舞ふ電脳画面しんみりと散らし書きする独り居の夜半に欲しかる美声のメロディ家内を拭き清むる日僅かにも美…

セージとともに 2011年混迷深し

明日また往こう、母と話に セージの巻 「せめてみじか歌」そこここに街に影行く一人居の日々のたつきの古き編みかご憧るる自由の朝は来るや来ぬ 淋しかるとも生命は光らむ格言にあらず詩となれ どこかふと言の葉の露やや燐めくとこれの語に意味はた価値も輝…

かきどおしとともに 2011年情けないまま

白い小さな頭を撫でる、母の頭を かきどおしの巻 「相克の分析」天に地に彼を気遣ふ人あるに哀しみの根や母者を恨む ==彼のねっこ苦のあらば生の手触り赤々と難に出逢へば覇気もて罵倒すこの重き病ひ悲しむむしろ苦を求むとばかり五十年を経つたれに言ふみ…

シャガとともに 2011年を転がる

子どものように母は「来てね」と シャガの巻 「大移動を果たして」電話力知力体力積年の我慢力生く大移動かな黄ばみたる手紙に母の心配を読むけふもまだ不孝の止まず歌ふには事実の無惨 音の数三十一の美し気なるありさうで突拍子もなき生温き夢の世界へ昼寝…

枇杷の花とともに 2011年 怪奇の年なり

2011年 老母、意識混濁を脱する3月 枇杷の花の巻 「兎も角も兎年」あらたまの年はしらくも風に乗りめじろせきれい舞ふ無重力兎も角も明けたる年の空のみはどこかほがらに鳥さえ歌ふ堪へかねてつひに落ちたる悲しみの結晶のごと雪は白かり 「ラビリンス…