2015-03-19から1日間の記事一覧
会えば繰り返される昔の話を聞く 菊紅葉の巻 「霜月の庭」側溝の沃土にずらり朝顔のこぼれ種の芽 カイワレもどき紫蘇の香(か)を抱き 引き抜く重たさの 無数の根の張り土を抱きて ==茂った紫蘇を引き抜く霜月の草引きをれば日々草 改良されて希望の新芽 …
常温の施設にて天然と切り離されて母は 3本の菊の巻 「人体発火」戦(いくさ)とふ抗(あらが)へざりしシステムに命断たれてひとりひとりは茹(う)だる日も朝に露草夕べには白粉花のありて半月覚悟して玄関開く 温気(うんき)むつと南国の葉も茹だりしな…
一月一度の訪問と母の笑顔 無名の菊の巻 「父の命日 夏盛り」思ひ出しくるる人なき命日を父は白百合のごとく笑へる無念なる娘なりしと嘆かひて父は逝きしか思ひてへこむシベリアゆ運良く帰国したる父の手帳に残る椰子の実の歌内側に金魚や花火描かるる硝子の…
嬰児と引き上げてきた若き母 よめなの巻 「家族の像」山羊さんの届くこと無きお手紙を唄ふ子の瞳はいつも濡れにき ==白ヤギさん黒ヤギさん子の妻を娘と思ふ吾が心 それも疎まれひとり死ぬらむ紫陽花のピンクとりどり呉れし嫁 緑の葉陰のその手美し ==母…
生の手触りまざまざと母は生きえて 柿変化の巻 「机に拠る」鈍色の空はさながら冬の底望む気持も失せて日の過ぐ絵描きらの腕も及ばじ色の海デジタル画面に溢るる具象パソコンの画面に虹を捉ふるは視覚細胞数字を見るのかわが歌に習ひも性も現るる不注意にし…
2013年 母の手作りのものいくつも お茶の花の巻 「失望の年?」年末に初夢宝くじ少し買ひしばかりに失望の年ただ白き紙美しく括られて今年も荒野広がるペイジふたつほどがつがり抱きローソンへ晴れ着のはたち敏捷のさまオリオンをキリリと飾る冬空を覗け…