私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

菜の花とともに 2014年 チャレンジばかりはする

春の野の花を摘む、すぐにしおれる
菜の花の巻

           

「文句の多し」

この不快胃酸逆流ならむとて半身起こしてい寝ればどつぼ

斜めより世を眺めては歌でなしと失笑さるる変人にてそろ

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祖母譲り外反母趾の遺伝子が変形させたるわが赤き靴

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葛西辺り不在の人に胸元を強く圧さるる消えるといふ事 ==弟との死別

後の世に平和あれども美醜あり君関わらぬことばかりなり ==子との死別




「かみさまに見捨てられて」
苧環の虫のふんほどの種送る 再婚したる友の身の上

かはいさうでたまらぬ胸に「ノオ」とのみ あのこあんまり自立しすぎて

果敢なしや子供なりし時過ぎ行きて天眼鏡で見る子の写真

取り返しつかぬことのみ 緑 赤 橙色も点灯する部屋

いつか来る雨だれこだれ 柿の木を柿薮にする方法知りぬ

きりくりと乾ける音に蠢きて働き通し外付けHD

オルゴール思はす「ピン」を聞くけふも 安心元気アップル老女 ==愛機?はマッキントッシュ

タイムマシン過去の書き換え可能とす 再度の労苦の当ては無けれど ==マックの機能の一つ
                     
ドラキュラに血を抜かれつつけふも吾コンビニの客それだけの者

若き日のあまりの遠さ あちこちに小さき梗塞脳に起こしき

三番目下から二番目どちらなる違反作業の左脳に疲労

一度しか使はぬ回路すぐへたる名無し草など神にはあらね

夜一時睡魔を待ちてやれやれと夢も見ぬらし海馬の混乱

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後朝の猫の恋路の邪魔をしてドンタク無心無欲を欲す

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「何処にて踏み外したる」大失態「気落とす勿れ敵失もある」

みな好きと思ふこの世の閉塞の中間隙に白き自由も

泡宇宙千変万化にクロアチアをかしや粘菌阿弥陀籤など

憎むもの富の取り合ひ 無為でゐるしかなき吾の脳をあはれむ

けふ吾の言葉の泉涸れはてて南東よりの風湿り初む

経験則男を死なす女吾 雨くる前に枯れ葉を袋に

「あたしはね男をだめにするらしい」赤実と白き花もつ十両

悲しがる理由も忘れセレナーデひとふし聞きてリンパ正さる

柿若葉を切るとふ無惨十年の修練何も産まぬも無念

今回もわざわざどうもと断られ素人作品あまた仕舞へる

人気無く遂にここまできたからは汚き手もても販路獲得

そのあげく踏み入らんとするけもの道「おう」と応へて手探りの闇

星印自ら付けしを貧粗なる歌と嘲はれ笑ひて帰る

定型は残すとしても急流のごろごろ石を転がし泳ぐ

薬害か日々増す眠気 このままに死の世界まで崩れゆくかに

何かしらがつんと頭に当たりたる 尖るな吾よ鋭くなくてよし

まあいいか眠たい寝たい足だるい体が重い頭ぼんやり

足元に小花群れいゐて空元気 さんざ笑ひてふと寂しけり

あつさりと諦めはせじ 吸う息を前頭葉に流せば涼し

パソコンの能力過信 無害にて小さく清らに人形でも欲し

一生の最初で最後 願はくばかつとなりても静まり諦む

コスモスよ君はどうする 老い以外苦になるもなく過ぎ去る五月

夜を込めて海鳴りの音 体内へ耳傾けて蝸牛も巻貝

戸外より不可解の音 出産後女の脳は母に変わるよ

心配を押し退けむとて念じゐる 空木卯の花豆腐におから

果物を満たせる夏日冷蔵庫 消化と居眠り同時に起こる

冷や冷やとせる心もて 柿若葉薔薇の青葉の隠れ家にゐる

いつもならあり得ぬことを諾ひて瞬時驚くしかし忘るる

二日間失意に慣れて 鬱の胸ぬくもりきたりつまんないことさ

人はみな壊れてしまうかみさまに見捨てられたる不完全物

死ぬまでを生きねばならぬ 赤き実となる片隅の小花にもなれず

長詩でも物したる気に おのれへの好奇心なりかぶきものめく

挽歌より始めたる歌かくなりて仕方なしともあな面白し

改行と同時に無より現るる数字が吾のおゐどを叩く ==番号付き機能を用いたら

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