私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

実はすでに9月に放映された番組を、今頃見て驚いたので備忘録として。


この物質世界の材料である素粒子は17個存在が確認されたのだが、その最後がいわゆるヒッグス粒子であった。
それまでの素粒子の質量は、どう計算しても総量ゼロであるはずだそうだった。しかしゼロでは存在が不可能だ。
計算間違いであろうと、長年そこを探して無為に終わっていた。

で、ヒッグス博士にひらめいたのは、じゃあもうひとつ素粒子を作ってしまい、こいつに素粒子に対する質量配分の役割があるとかんがえてみよう、という軽業師的発想。

何と、計算上辻褄が合う。

ともかく宇宙に充ちていて、素粒子の動きにブレーキをかける、それが質量だといわれて、(つまり素人への説明で)いたが、本当は粒子ではなく、磁場のような「場」なのである。
このヒッグス場とそれぞれの素粒子との間には、それぞれの強さの小さな結合力があり、
それで強く、あるいは弱く場にひきつけられた素粒子は、
その場を深く、あるいは浅くゆがめて、
早くあるいはより遅く歪みの周囲を回る。

(この図は、アインシュタインの説明でよく見た宇宙マップにとても似ていた。ゴム製の碁盤の目のついた宇宙というシートの上を、重たい太陽や軽い地球がゴムをへこませつつその周囲を回転する、あの図である)
(質量は重力と関係あるよね?)

ともあれ、次はこの理論をいかに証明するか。
ヒッグス場の存在を示すものは、例のスイスあたりのCERNという施設で、陽子を光の速度でぶつけ合い、何兆回もぶつけるうちにたまに現れるヒッグス粒子である。この時だけ粒子になっているが、存在時間があまりに短い。

もうひとつ有効なのは、光子である。
理屈はわからないが、同じようにぶつけていると、なにかの次第にくだっていく光子の出現グラフの中に、ほんの少しぷっくりができる。その部分がヒッグス粒子のできたところを証明しているとか、いないとか。

それにしても、物理学者たちの努力と協同にはいつも頭が下がる。人類の善き面を見る気がする。たとえ水爆や、原発となってほとんど回復不可能な悪を残すとしても。そこは人類全体の責任である。