私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

生物のあり方を人間が問う


科学のデータの意味を、言葉で語る事が出来たとき、いわば科学の出口ができる。
動的平衡、と言うシンプルな言葉で生命の真の姿を言い表した時、納得し幸福な気持になる。
しかしそれに対し人間は何も出来ない。それはある種の諦観であるが、そういう生命の流れの中に私たちがいると知る事は、希望でもある。

どうして希望なのか。
エントロピー増大の法則に反して、生命現象だけが秩序を保ち続けているように見える。
実は、その法則が襲って来るのに備え、先回りして自らを壊し、作り替える事で秩序を保っている。
ある意味けなげな自転車操業、これが38億年、一度も途絶えずに続いた最大の理由である。

分子の粒でできたこの身体、
この部品の一つ一つはものすごい速度で分解され、流れている。
消化管や口の中の細胞は2、3日ですべて入れ替わる。

短い時間で見ると、体は固体
長い時間で見ると、液体
もっと長い時間で見れば、気体
流れている分子が一時的に淀んでいるに過ぎない。その流れの中で、体は辛うじて一定の状態を保っている。それを動的平衡と彼は名付けた。