私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

[死生談義] ペインクリニックについて

今年始めからすでに半年以上、老母はペインクリニックに通院してきた。
痛みの症状の原因は、簡単に言うと背骨のひとつひとつが老化のため潰れたことだ。正しい形を保てなくなってひしゃげてしまった背骨。
そのために背骨の左右から体中に配信されるべき各神経の根元にあたる関節がぐらぐらになるそうだ。
もちろんそれは当該の身体部分に電気が走るような、神経の痛みを感じさせる。足のつま先まで痛み、というか、ビリビリが走る。
そのようだ。見ていると。
にっちもさっちもいかなくなる。助けようとする側も大変だ。触るとそれが痛い。


例によって詳しい説明はできないが、何本も注射されるうちに、さしもの痛み神経もあらかた退治される。
従来の方法では結局何年も痛みに耐えねばならなかったようだ。しかしこの方法では何の副作用もなく、比較的短期間で痛みは消える。
母親の場合、骨が治癒する訳でないので、身体が曲がってしまうことは致し方ない。しかし、少なくとも人間らしい生活を少しは取り戻せた。


そう、つまりペインクリニックは、ホスピスとしても非常に良く機能するのだ。毎日新聞の連載によって、確かに多くの人がこれを知り、救われつつあるらしい。我々のように。
ただ、麻酔医というのだろうか、この分野の専門医が絶対的に不足しているらしい。

死ぬことが、死ぬという苦痛が、そのための恐れが緩和される時、人間はどんな気持ちで生きるようになるだろうか。