私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

バナトとはハンガリー南部の歴史的な地域名

あるいは別の辞書では、東欧のドナウ、タイス、マロス河に囲まれた地域
毎日新聞の小さな記事を見つけて、そうなのか,ドイツの戦後がやっと終わることになるかもと、目を見張った。


いつごろか正確に言うことができないが,ドイツ農民の農業技術を活用してほしいという要請に応じて,東欧地域へと一部の農民たちが移住して行った。
その先がバナトと呼ばれた地域である。
今でいう、ハンガリー南部とルーマニアユーゴスラヴィアの一部をふくむ地域らしい。
そこでドイツ村が作られ、ドイツ語は古いままで保たれた。


問題は第2次世界大戦である。ナチスの形勢が悪くなると,各地域からこのドイツ人たちは追い出され始めた。
それのみならずドイツ以外の国に、バナーターとよばれるこの農民たちを、事実上餓死させるための収容所が作られた。
このドイツ人のためのホロコーストは、世界に知られることなく戦後しばらく存在したという。
一部はソ連に抑留され戦後なお強制労働に従事させられた。

着の身着のままで彼らは、運が良ければ祖国ドイツに辿り着いた。いわゆる難民である。
その数は知らない。
混乱のドイツで,彼らは全く歓迎されざる同胞であった。

しかも、彼らの運命について公にすることは大問題であった。
「ドイツ人の戦争被害者としての側面に焦点を当てる施設(第二次世界大戦直後に旧東欧地域から追放されたドイツ人の苦難を記録する展示施設:反追放センター)については、ナチスドイツの支配を受けた隣国ポーランドなどが,歴史を書き換えるもの、と強く反発」していた。
しかし、親独派のトゥスク ポーランド首相就任により、両国政府の歩み寄りで実現した。


日本では、原爆投下を受けたことにより、加害者から被害者に変わったかのような錯覚をともすれば抱きがちだ。
そのどちらでもありうることが、戦争の馬鹿らしさである。
敵対する国々の中に、ひとかたまりの理性的なグループがあって、感情の渦に巻き込まれて行く世論に棹さす、ことが可能ではないのだろうか。
いや、戦争はそんな次元の話ではなく、金儲けを企むクループの世論操作によって生じるのではないか。
そんな疑いを、みんなして持つべきではないのか。