私家版マスメディア〜logo26のシニアの生き方/老婆の念仏

何が出てくるやら、柳は風にお任せ日誌、偶然必然探求エッセイ

ある父親の話:日本列島の西南の端にある村。

人々はおそらく似たような褐色の肌と太い眉と丸い目とどっしりした鼻柱を所有していたことだろう。そんな一人の男が、末っ子であるというので独り立ちを余儀なくされ、県庁のある地方都市に出てきた。始めは河岸で荷揚げ仕事をする。少し様子が好く、根がまじめなので信用を得て、ある米屋の手伝いをするようになった。のれんを分けてもらって嫁ももらった。まもなく慰安会で知り合った芸子との間に女児ができ、夫婦別れとなった。離婚して困っていた色白の女と再婚した。美しいところはさしてないが、温和で賢い妻との間に、男の子ばかりずらっと生まれた。最後に女の子が生まれた。米屋は順調だった。何番目かの子が、事故で頭を打ち知能の発達が止まったままになった。このことから夫婦で信心を始めた。家業を継いだ二人の男子には同じ信者の家から姉妹で嫁にきたもらった。とりあえずはそれもいい手だったようだ。